2004年4月、OECD改革の一環として、国際投資・多国籍企業委員会(Committee on International Investment and Multinational Enterprises:CIME)と資本移動・貿易外取引委員会(Committee on Capital
Movements and Invisible Transactions:CMIT)が統合されて、投資委員会が設立されました。
本委員会では、各加盟国の投資政策に関する問題、「国際投資及び多国籍企業に関する宣言」(以下、「宣言」)の実施に関する事項、OECD自由化規約に基づいた各加盟国における資本移動とサービス自由化の実施状況等、国際投資に関する諸問題や傾向について議論を行っています。近年では、投資国・投資受入国として新興経済が影響力を増してきていること、さらには、開発のための投資促進の重要性への認識が高まっていることを踏まえ、南東欧、中東・北アフリカ(MENA)、サブ・サハラ・アフリカ、ユーラシア、ラテンアメリカ・カリブ海等の地域投資プログラムのほか、非加盟国(中国、インド、インドネシア、ロシア、ベトナム、ウクライナ、モロッコ等)の投資政策レビューも実施しています。
(1)構成
OECD加盟国により構成され、出席者の多くは加盟国の国際投資担当実務責任者(部長・課長級)です。「宣言」に関する議論については、「宣言」に参加している非加盟8カ国(エジプト、ラトヴィア、リトアニア、ルーマニア、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、モロッコ)も参加でき、作業部会にも、各オブザーバーに加えて、これらの「宣言」参加国も参加しています。
(2)議長・副議長
・議長:墺
・副議長:我が国、米、英
・作業部会議長:蘭、同副議長:加
・開発と投資諮問グループ議長:フィンランド
・国際投資統計作業部会議長:ベルギー、同副議長:墺、加、伊、トルコ、仏
(3)オブザーバー
アルゼンチン、ブラジル、チリ、国際通貨基金(IMF)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、世銀、世界貿易機関(WTO)
(4)下部組織
作業部会、投資と開発諮問グループ、国際投資統計作業部会、贈賄作業部会、各国連絡窓口(NCP)年次会合
(1)「OECD多国籍企業行動指針」
「宣言」の一部である「OECD多国籍企業行動指針」に則り、多国籍企業による責任ある企業行動(Responsible Business Conduct:RBC)を促進するよう、本行動指針の普及に努めている他、互いの経験や個別事例に関する情報交換をしています。また、今日,国際投資や多国籍企業を取り巻く環境は大きく変化しており,複雑化するサプライ・チェーンにも対応が可能な範囲での高水準なRBCへの取組みが求められているという背景に基づき、本行動指針の改訂作業が10年ぶりに行われ、2011年5月にOECD閣僚理事会にて,改訂版行動指針が承認されました。同改訂においては、特に、「人権」に関する新たな章の設置、サプライ・チェーンにおけるリスクに基づくデュー・デリジェンス(Due Diligence:DD)の関連規定の導入、途上国における最低生活賃金の保証、インターネットの自由の促進等が盛り込まれると共に、紛争解決機能を有するNCP(本ガイドライン普及のための各国連絡窓口)手続きも明確化され強化されました。
さらに、毎年開催している「企業責任に関するラウンドテーブル」を、「責任ある企業行動に関するグローバル・フォーラム」へ進化させる予定。「紛争及びハイリスク地域産の鉱物の責任あるサプライ・チェーンのためのDDに関するガイダンス」の実施にも取り組んでいます。
【参照リンク】外務省HP OECD多国籍企業行動指針
(2)投資の自由(Freedom of Investment)プロジェクト(以下、FOIプロジェクト)
国家安全保障、戦略的産業保護及び公の秩序等を根拠として外国投資規制を強化しようとする保護主義的な動きが顕著になったこと機に、2005年以降、各国の投資関連措置のモニタリングを行う「FOIラウンドテーブル」が非加盟国も交えて開催されています。2008年には、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)と投資受入国の政策に関する報告書を作成し、同年の閣僚理事会では、「OECD Declaration on SWFs and Recipient Country Policies」が採択されました。2009年5月には、理事会において、無差別、透明性及び予測可能性、比例性、説明責任を原則とする「安全保障を理由とする投資規制に関するガイドライン」が採択されました。
また、最近では、昨今の経済危機に際して保護主義的な圧力への警戒が高まっていることから、2009年4月以降G20からマンデートを受け、各国による投資規制のモニタリングの結果をUNCTAD及びWTOとともに、現在は半年に一度G20へ報告しています。
(3)国際投資協定
国際投資協定(二国間投資協定(BIT)、地域貿易協定(RTA)、自由貿易協定(FTA)の投資章など)の最近の傾向、投資家対国家の紛争処理等について議論・研究を実施しており、2010年12月には、UNCTAD及び国際投資紛争解決センター(ICSID)との共催により、「国際投資協定シンポジウム」が開催されました。
(4)非加盟国へのアウトリーチ活動
ア.国際投資に関するグローバル・フォーラム
非加盟国との対話の場として、2001年以降、世界銀行及びUNCTADと協力して開催しています。2009年は12月にパリで第8回目が実施され、責任ある企業行動、新興国市場の投資動向、国際農業投資等、幅広いトピックが議論されました。そして、2011年12月には第9回目が開催されました。
イ.地域投資環境改善プログラム
南東欧、MENA、サブ・サハラ・アフリカ、ユーラシア、ラテンアメリカ・カリブ海における投資環境改善プログラムを実施しています。我が国は、特に以下を支援しています。
(ア)NEPAD-OECDアフリカ投資イニシアティブ
アフリカ諸国の持続可能な成長のためには、政府開発援助(ODA)のみならず、民間投資の活用が不可欠との認識に立ち、2005年のOECD閣僚理事会において、我が国が本イニシアティブの強化プロジェクトを提案しました。現在、南部アフリカ諸国を対象として「投資のための政策枠組み(PFI)を用いた投資政策レビューや再生可能エネルギーインフラ投資促進のための政策チェックリスト作り等を実施しています。
(イ)MENA-OECD投資プログラム
2005年から開始され、5つの作業部会(投資政策・推進、中小企業政策・起業・人的資本開発、租税政策、競争力、コーポレート・ガバナンス)においてMENA諸国の政策担当者と協議を重ねてきているほか、MENAビジネス評議会、MENA女性ビジネス・フォーラムが設置されるなど、民間セクターの関与も強化しています。また、エジプトとモロッコに対してビジネス環境開発戦略(BCDS)ツールを用いた投資政策評価実施・支援を行っています。近年では、G8のドービル・パートナーシップへの貢献を行っています。
(5)国際投資統計
IMFと国際投資統計に関する専門家会合を重ねつつ、外国投資統計における企業間取引(M&A、融資など)の定義等が議論された後、2008年5月、「外国直接投資に関するOECDベンチマーク定義」の第4次改訂が実現しました。