OECDの概要:租税委員会 - Committee on Fiscal Affairs
1.概要
租税委員会は、租税政策・税務行政の両分野において広く情報の共有・意見交換を実施している国際フォーラムであり、特に国際課税分野においてOECDモデル租税条約やOECD移転価格ガイドラインをはじめとしたルールの策定を積極的に行っています。
2.組織・構成
(1)構成
租税委員会本会合には、各国財務・国税当局等の幹部職員が出席しています。
(2)議長、副議長等
議長: ドイツ マーティン・クライエンバウム
(3)下部組織(作業部会、関連会合等)
第1作業部会 OECDモデル租税条約
第2作業部会 税制・税収に係る統計・経済的分析
第6作業部会 OECD移転価格ガイドライン
第9作業部会 消費税
第10作業部会 税の情報交換
第11作業部会 濫用的なタックス・プランニング
有害税制フォーラム 有害な税の競争
情報交換グローバルフォーラム 税の情報交換に関する相互審査
電子経済タスクフォース 電子経済への課税のあり方
租税犯罪タスクフォース 租税犯罪
税務行政フォーラム 税務行政に係る各国の経験の共有・情報交換
これらの作業部会には、更に特定のテーマについてサブグループを設置しているものがあります。
また、OECD事務局(CTPA:租税センター)と協力して、非加盟国等との対話を通じ、OECDの策定している基準や国際課税ルールの発展・推進に関する活動を積極的に行っています。
3.最近の活動内容
(1) 税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクト
2013年7月に発表され、同年9月のG20サミットで承認された15の行動計画に基づき、OECDとOECD非加盟のG20メンバー8か国が中心となって取り組んでいるプロジェクトです。
各国が、二重非課税を排除し、実際に企業の経済活動の行われている場所での課税を十分に可能とするため、OECDは、行動計画の各項目について、2015年10月、国際的な税制の調和を図る方策に係る最終報告書を公表し、同年11月のG20サミットでも支持を受けました。
これらの成果をより広い範囲で実施すべく、2016年6月、京都において、80以上の国・地域が参加しBEPS包摂的枠組み第一回会合(IF : Inclusive Framework on BEPS)が開催され、2021年8月現在、140か国・地域が参加する枠組みとなっています。
(2)自動的情報交換(AEOI : Automatic Exchange Of Information)の共通報告基準(CRS : Common Reporting Standard)
外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、OECDにおいて、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」が公表され、日本を含む各国がその実施を約束しました。
この基準に基づき、各国の税務当局は、自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供します。
(3)税の情報交換に関する相互審査(ピア・レビュー)
税の透明性と情報交換に関するグローバルフォーラムは、160超の国・地域によって構成され、税に関する実効的な情報交換を促進するため、情報交換に関する国際基準の実施について、メンバー間での相互審査を行っています。