OECDの概要:雇用・労働・社会問題委員会 - Employment, Labour and Social Affairs Committee (ELSAC)

令和4年9月8日

1.概要

加盟国における労働市場の状況、雇用政策及び社会政策の内容に関する情報交換、評価を中心として、各国の雇用・社会問題への対応をより効果的にするための活動を行っています。

 

2.組織・構成

(1)議長、副議長の構成国

議長:ラトビア

副議長:日本、スウェーデン、カナダ、チリ、ベルギー、ドイツ、スペイン

 

(2)参加国等

OECD加盟国に加え、欧州評議会(COE)、国際労働機関(ILO)その他12か国がオブザーバー等として参加。

 

(3)下部組織(作業部会等)

(イ)WP1 (社会政策)

年金、家族政策、格差等の社会政策について、加盟国間の統計の整備、政策分析を行っています。

 

(ロ)WP2(移民)

外国人労働者を含む移民についての加盟国間の情報交換を行うほか、SOPEMI(加盟国及び関係非加盟国の専門家による移民動向の継続的なモニタリングシステム)をベースに移民の動向に関する年次報告「International Migration Outlook」(国際移民アウトルック)を作成しています。

 

(ハ)WP5(雇用)

加盟国の雇用失業情勢の分析・予測、雇用に関するテーマ別の分析により構成される年次報告「Employment Outlook」(雇用アウトルック)の作成に先立ち、ドラフトを議論しています。

 

3.最近の活動内容

(1)社会政策関係

2018年5月に「繁栄を共有するための社会政策 : 未来へ向けて」をテーマに社会保障大臣会合が開催され、労働市場の変化や高齢化といった課題に対応するための社会保護のあり方について議論されました。

 

家族政策、公的年金、格差、ジェンダーなどについて調査研究を実施しており、「A Broken Social Elevator? How to Promote Social Mobility」(格差に関する報告書)、「Closing the Gender Gap: Act Now」(ジェンダー格差の縮小に向けて)、「Society at a Glance 2019: OECD Social Indicators」(図表で見る世界の社会問題)、「Pensions at a Glance 2021: OECD and G20 indicators」(図表で見る世界の年金)などが最近刊行されました。

 

2012年閣僚理事会で付与されたマンデートに基づき、2013年5月に「教育、雇用、起業(3E)におけるジェンダー平等の理事会勧告」を策定しました(本勧告は同月の閣僚理事会で採択されました)。その後、各国の実情に応じた対策を実施し、2017年閣僚理事会で進捗報告が行なわれました。

 

また、最も不利な立場に置かれた若年者の自立支援施策を調査研究する国別レビューに日本も参加し、2017年5月に報告書「若者への投資:日本 OECDニートレビュー」が公表されました。

 

(2)雇用・労働関係

2022年6月に新型コロナ危機後のよりよい労働市場の構築をテーマに雇用労働大臣会合が開催され、コロナ禍からの労働市場の回復や、DX、GX等に向けた対応について議論が行われました。

 

このほか、2018年5月の閣僚理事会において、「新OECD雇用戦略」(雇用と所得を増やすための包括的な政策提言、1994年閣僚理事会に報告、2006に改訂)の全体概要及び主要な政策提言が公表されました。2018年12月には、本雇用戦略に関する分析集が公表されました。

 

2018年12月には、日本が参加した高齢者雇用に関する国別レビュー報告書「生涯を通じたより良い働き方に向けて:日本」が公表されました。2019年8月に、本プロジェクトに参加した各国のレビューをとりまとめた統合報告書が公表されています。

 

2021年2月には、日本の成人学習制度について分析を行った報告書「社会に対応する成人学習の機会をつくる(Creating Responsive Adult Learning Opportunities)」が公表されています。

 

(3)国際移民関係

2020年1月に「将来に向けた移民政策・統合政策」をテーマに閣僚会合およびハイレベル政策フォーラムが開催され、移民の管理、不法移民への対応、移民の社会的統合などについて議論が行われました。

 

2022年5月には、ウクライナ避難民への対応を協議するために、臨時の移民作業部会をワルシャワで開催しました。