OECDの概要:地域開発政策委員会 - Regional Development Policy Committee
1.概要
都市・農村の地域開発に関する重要問題についての意見交換、関連する経済、社会、環境及び制度に関する動向の分析を通じた地域開発に関する政策分析等を実施するための協議体として、1999年に設立されました。
(OECDウェブサイト:https://www.oecd.org/regional/
2.組織・構成
(1)構成
各国行政機関の編成や問題意識の相違に応じ、経済財政、地域開発、環境、都市、農業・農村担当省庁の政策責任者等が出席しています。日本からは国土交通省参与や農林水産省の課長級が出席しています。
(2)議長、副議長
議長:イタリア
副議長:日本、フランス、アイスランド、オランダ、ポルトガル、米国、EU
(3)非加盟国等の参加
モロッコ、ブルガリア、ぺル-、南アフリカ等が参加しています。
(4)下部組織
- 都市政策作業部会
- 農村政策作業部会
- 地域指標作業部会
3.最近の活動
(1)地域開発政策に関するハイレベル・専門家レベルでの議論を行っています。2019年3月には、ギリシャ・アテネで第4回地域開発政策委員会閣僚級会合が開催され、「地域・都市・農村のよりよい未来の構築のための政策に関する宣言」が採択、「都市政策の原則」
及び「農村政策の原則」が歓迎されました。その後、「都市政策の原則」を実践するためのツールキット
が作成されるなどしています。
(2)各国の地域政策レビューを行っており、2016年には日本レビューが実施されました。
(3)地域統計指標の整理分析、地域統計資料集の発刊等を行っています。また、地域開発政策に関する政策分析として、リージョナル・アウトルック(本委員会の主な分析作業のとりまとめ)
の公表等を行っています。
(4)都市政策の調査分析を行っています。
- 2018年より、国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs)に向けた都市・地域の取組みを推進するためのプロジェクト
を実施しています。日本からは北九州市がパイロット都市に選定されています。2022年には「SDGsの地域的アプローチのためのツールキット」
が作成されています。
- 各国の都市政策を巡る重要課題を議論する場として、各国の閣僚や自治体の長が出席する円卓会議や、自治体の長が集まるチャンピオンメイヤーズ会合
等を開催しています。
- 各国で取り組みが進んでいるスマートシティに関する政策を包摂的で持続可能な成長を促進するものにすべく、2019年より「スマートシティと包括的成長に関するプログラム」
が立ち上げられています。2020年には(一財)民間都市開発推進機構等が共催してラウンドテーブル
を開催しました。
- 新型コロナウイルスに関して、都市への影響や教訓、長期的な回復や強靱性向上のための戦略等をまとめたポリシーノート「都市の政策対応(Cities Policy Responses)」
や、地域ごとの影響を比較するためのデータベース「(Regeional Recovery Platform)」
を作成しています。
(5)農村政策の調査分析を行っています。
- 農村地域におけるイノベーションの促進、農村地域の低炭素経済への移行、持続可能な農村地域開発、農村地域における公共サービスの供給等に関する検討を行っています。
- 各国政府が農村地域の経済成長を支援するための枠組みとして、2016年に「ルーラル・ポリシー3.0」
を作成しました。
- 各国の農村政策を巡る重要課題を議論する場として、各国の閣僚等が出席する農村開発会議を開催しています(2019年に第12回会合を韓国で実施)。
(6)原子力機関(NEA)と連携し、福島第一原子力発電所の廃炉に関して、OECDの産業集積や地域政策ビジョンに関する知見等を活用した「福島廃炉産業集積に関する政策対話プロジェクト」を実施しています。2019年4月には、グリア事務総長、石川経済産業政務官、内堀福島県知事、遠藤福島県広野町長等の参加を得て、「OECDリーダーズ・ダイアログ:福島の復興とこれからの地域づくり」を東京で開催しました。