OECDの概要:開発援助委員会 - DAC: Development Assistance Committee
1.概要
(ホームページ:http://www.oecd.org/dac/development-assistance-committee/)
(1)設立の経緯
1960年7月、OECD閣僚決議により、DACの前身である開発援助グループ(DAG : Development Assistance Group)の機能、性格及びメンバーシップを継承したDACの設置が決定され、1961年10月に第1回DAC会合が開催されました。日本は前身のDAG時代から加盟しています。
(2)目的
包摂的かつ持続的な経済成長、貧困撲滅、途上国の人々の生活水準の改善を含む、持続可能な開発のための2030アジェンダ達成、及び援助に依存する国がなくなるような将来に貢献するために、開発協力及び関連政策を促進する。
2.組織・構成
(1)構成
オーストリア、オーストラリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国、欧州連合(EU)の合計30メンバーで構成されています。EU を除く29か国は、いずれもOECD加盟国です。
(2)議長、副議長
議長: Ms.Susanna Moorehead (英国)
副議長: Mr.Dirk Platzen(オーストラリア)、Mr. Robert-Jan Scheer(オランダ)、Ms. Anthe Crawley(ニュージーランド)、Ms. Aleksandra Stys(ポーランド)
(3)オブザーバー等
ア オブザーバー:トルコ、メキシコ、チリ、エストニア、イスラエル、ラトビア、リトアニア、コロンビア、コスタリカ(いずれもOECDに加盟しているものの、DACに加盟していない国)及びアジア開発銀行、アフリカ開発銀行、米州開発銀行、国際通貨基金、国連開発計画、世界銀行
イ パティシパント:アゼルバイジャン、ブルガリア、クウェート、カタール、ルーマニア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦
(4)下部組織
特定のテーマに関して継続的かつ専門的に議論するために、以下の下部組織を設けています。
(1)統計作業部会(WP-STAT): 途上国及び他国間機関への資金の流れの統計報告・集計・ODA定義等の基準や方法を議論・作成(「統計指示書」、ODA適格性等を含む)。
(2)ジェンダーネットワーク(GENDERNET):開発と援助政策全般への女性の参加を支援する措置を含め、開発における性差別の解消の方策を検討。
(3)評価ネットワーク(EVALNET): 援助・開発評価に係る情報交換・協力(合同評価を含む)、評価手法の改善等を議論。
(4)紛争と脆弱国際ネットワーク(INCAF): 開発の阻害要因でもある紛争の予防、紛争後の復興及び脆弱国の開発において開発協力が果たす役割を検討。
(5)環境と開発協力ネットワーク(ENVIRONET):持続可能な開発のための一貫したアプローチの促進、環境と開発のリンケージ等を議論。
(6)ガバナンスネットワーク(GOVNET): 開発協力の重要な視点の一つである良い統治と、それを実現するために必要な汚職防止や人権保護に関する協力のあり方を検討。
3.最近の活動内容
DACでは、設立の目的を達成するため、以下の5つの活動に取り組んでいます。
(1)ODA及び他の公的・民間資金の流れに関するデータ及び情報を、透明性のある方法で収集・分析し、そうして得たデータ及び情報を通じて、持続可能な開発のための資源が適切に提供されているかモニタリングし、評価し、報告するとともに、資源の提供を促進する。
(2) 各国が定めた、もしくは国際的に承認された開発のための目標や対象を審査するとともに、国際的規範や基準を維持し、ODAの一貫性を守護し、開発における透明性と相互学習を促進する。
(3) 分析、ガイダンス及び優良事例の提供を通じて、DACメンバー及びその他のドナーの開発協力、(特に貧困撲滅のための最大かつ持続的な経済成長(pro-poor sustainable growth)に資する活動)に寄与する革新、インパクト、効果及び成果の拡大を支援する。
(4) 持続可能な開発の成果を最大化する観点から、グローバル開発枠組の分析と形成支援を行い、持続可能な開発のための2030アジェンダの実施を支えるとともに、アディスアベバ行動目標(AAAA)に基づく開発資金の動員を促進する。
(5) グローバル公共財と持続可能な開発のための政策一貫性の重要性を促進する。