OECDの概要:公共ガバナンス委員会 - PGC:Public Governance Committee
1.概要(目的等)
本委員会(PGC)は、加盟国等のエビデンスベースかつイノベーティブな政策の発展・立案を支援することを目的として、政府が直面する課題の特定や政府が実施する改革の査定、公的セクターのパフォーマンス等に係るデータや指標の構築、効果的な政策の立案及び実施に向けた政策ツールの考案、公的セクターの信頼・オープン性・透明性・清廉性を強化するためのガイダンスの提供等を行っています。
2.組織・構成
(1)議長、副議長
議長:米国
副議長:日本(深谷健 武蔵野大学法学部准教授)のほか、 ベルギー、コロンビア、アイルランド、ポーランド、スウェーデン
(2)会合開催頻度
年2回
(3)非加盟国との関係
参与国:ブラジル、エジプト、カザフスタン、モロッコ、ペルー、南アメリカ、チュニジア、ウクライナ
招待国:アルゼンチン、ブルガリア、中国、クロアチア、インド、インドネシア、ヨルダン、マレーシア、パラグアイ、ル-マニア、ロシア、シンガポール、タイ、アラブ首長国連邦
(その他、(4)下部機構のうち、
(ア)においては香港、ベトナム
(イ)においてはドミニカ共和国、レバノン、マルタ、パナマ、カタ-ル、セルビア、ウルグアイ
(ウ)においては、エクアドル、香港、マルタ
(エ)においてはアルバニア、マルタ、モンテネグロ、セルビア、ベトナム
(オ)においてはドミニカ共和国
(キ)においてはレバノン が招待国となっている。)
(4)下部機構
(ア)政府上級中枢官吏会合(CoG)
政府中枢機関(内閣官房等)の長や関連国際機関で構成され、政府中枢機関における質の高い意思決定・戦略構築・政策協調等を支援するための方策等を検討することを目的としています。具体的には、政府中枢機関間の情報共有のために年1回の会議の開催、各国のベストプラクティスの集積、公的ガバナンスに係る事項への洞察や分析の提供等を行っています。
(イ)上級デジタル政府官吏作業部会(E-leaders)
政府のデジタル戦略等を所管する公務員で構成され、政府のデジタルトランスフォーメーション達成の支援、最新のデジタル技術の効果的かつ効率的な利用を促すことによる公的セクターのガバナンス改善等を目的としています。
具体的には、ベストプラクティスの特定やデジタルガバメントに係る議題の分析や調査の実施、加盟国等政府のデジタルガバナンス政策に係るピアレビューの実施、OECDデジタルガバメント戦略に関する理事会勧告(2014)の普及や実行に向けた支援等を行っています。
(ウ)上級公的清廉性官吏作業部会(SPIO)
公的セクターにおける利害対立の管理や透明性・清廉性の促進を所管する政府の専門家で構成され、公的清廉性に係る仕組みの構築や実施の促進、公的セクターの倫理や公的清廉性に関して重要となる価値観の強化等を目的としています。具体的には、ベスト・プラクテイス等の情報交換、政府の清廉性に係る仕組みの策定や実施に関する評価の実施、清廉性に係る仕組みに関する比較データの収集、OECDロビーイングにおける透明性及び清廉性に関する理事会勧告(2010)やOECD公的清廉性に関する理事会勧告(2017)の普及や実行に向けた支援等を行っています。
(エ)公共調達上級実務者作業部会(LPP)
公共調達に関わる政府の専門家で構成され、公用調達に関する仕組みの改善に係る情報共有、公共調達がもたらす影響に関する査定と計測等を目的としています。具体的には、公共調達のパフォーマンスに関する分析ツールや比較データの収集、各国政策の比較分析、ピアレビュー、OECD公共調達に関する理事会勧告(2015)の普及や実行に向けた支援等を行っています。
(オ)公的雇用・管理作業部会(PEM)
政策立案者や公的雇用分野を所管する公的組織の専門家で構成され、政府職員の有効性・効率性最大化に向けた政府への支援、政府職員のモチベーション維持に向けた管理ツールや報酬に係る政府の検討の支援等を目的としています。具体的には、各国の公的雇用システムに係る比較データの集積やピアレビュー、OECD公共サービスにおけるリーダーシップ能力に関する理事会勧告(2019) の普及や実行に向けた支援等を行っています。
(カ)ジェンダーメインストリーミングガバナンス作業部会(GMG)
ジェンダーメインストリーミングを所掌する公務員から構成され、公人としての生活におけるジェンダー格差の解消に向けた協力の場の提供、ジェンダー平等の目的を進めるためのプロセスや政策ツール(規制・予算・調達等)に係るベストプラクティスの特定等を目的としています。具体的には、公的意思決定へのアクセス等の公人としての生活に係るジェンダー平等に関する調査の実施、ジェンダー平等促進に向けたイニシアティブの効果を測定のための手法や指標の発展等を行っています。
(キ)オープンガバメント作業部会(WPOG)
政府中枢機関や省庁においてオープンガバメントに関する事項を所管する公務員で構成され、オープンガバメント政策の効果測定に係る均一的な測定基準策定に関して加盟国間で協力していくためのデータ収集文化の促進、オープンガバメントに関するOECD水準実施の促進や支援等を目的としています。具体的には、オープンガバメントの取組を評価するための指標の開発、オープンガバメントに関する新たな発展や革新的な応用に関するモニタリング、OECDオープンガバメントに関する理事会勧告(2017) の普及や実行に向けた支援等を行っています。
3.最近の主要な活動
(1)「公共調達に関する理事会勧告」(2015)、「公共生活におけるジェンダー平等に関する理事会勧告」(2015)、「公的清廉性に関する理事会勧告」(2017)、「オープンガバメントに関する理事会勧告」(2017)、「公共サービスにおけるリーダーシップ能力に関する理事会勧告」(2019)、「公共部門におけるイノベーションに関する宣言」(2019)等を策定しています。
(2)2009年から隔年で、「図表でみる世界の政府」を刊行しています。直近では、2021年に、「図表で見る世界の政府2021年版」が公表されました。