OECDの概要:生徒の学習到達度調査 - Programme for International Student Assessment(PISA)
1.概要
PISAは、生徒の学習到達度及び学校教育の成果について国際的な比較調査を行うことを目的としており、15歳児を対象として、読解力、数学的リテラシー、科学リテラシーの3領域において共通問題により2000年から行われてきた国際調査です。単に知識の量を問うのではなく、それまでに身に付けてきた知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測るためのものです。調査の結果から、自国の教育システムの良い点や課題についての情報を得ることができ、国の教育政策や教育実践に生かすことができます。
2018年に実施されたPISA2018の調査結果は、2019年12月に公表されました(http://www.oecd.org/pisa/ )。PISA2022(当初予定より1年延期)では、数学的リテラシーを中心に調査が行われ、2023年に公表予定です。
※これまでの日本の結果については、国立教育政策研究所のホームページを参照
(https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html )
2.PISA運営理事会
PISAは、参加する各国政府等が費用を分担して実施するプログラム(パートIIプログラム)であり、調査に関する方針・内容は、調査参加国の代表で構成されるPISA運営理事会で決定されます。
(1)参加国
OECD全加盟国
アソシエイト:ブラジル、タイ
(2)議長・副議長
議長:オーストラリア
副議長:スペイン、米国、タイ
3.調査内容
(1)調査の内容・特徴
2022年調査では、以下の調査を実施します。
●主要3分野調査
・2022年調査では数学的リテラシーを中心分野に、科学的リテラシー、読解リテラシーの3分野を調査。
・思考プロセスの習得や概念の理解を重視。
●生徒質問調査
生徒の家庭環境や学習条件等を調査し、学習到達度との関連性を分析するために実施。
●ICT活用調査
生徒に、携帯電話、デスクトップ/タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ゲーム機など、様々なデジタル機器の利用状況について尋ねた調査。
●金融リテラシー調査
2012年調査以来、金融リテラシーに関する調査を実施(日本は不参加)。
●革新分野 (Innovative Domain)
2012年調査以来、革新分野と呼ばれる以下の調査を実施。
・PISA 2012 Creative Problem Solving (問題解決能力調査):日本は参加
・PISA 2015 Collaborative Problem Solving (協同問題解決能力調査):日本は参加
・PISA 2018 Global Competence:日本は不参加
・PISA 2022 Creative Thinking:日本は不参加
・PISA 2025 Learning in the Digital World
革新分野は学際的な21世紀型能力を評価しており、生徒の「人生への準備」をより包括的に見通すことができるようになります。
(2)主要3分野の定義
数学的リテラシー
様々な文脈の中で数学的に定式化し、数学を活用し、解釈する個人の能力。それには、数学的に推論することや、数学的な概念・手順・事実・ツールを使って事象を記述し、説明し、予測することを含む。この能力は、個人が現実世界において数学が果たす役割を認識したり、建設的で積極的、思慮深い市民に求められる、十分な根拠に基づく判断や意思決定をしたりする助けとなるもの。
科学的リテラシー
思慮深い市民として、科学的な考えを持ち、科学に関連する諸問題に関与する能力。なお、科学的リテラシーを身に付けた人は、科学やテクノロジーに関する筋の通った議論に自ら進んで携わり、それには科学的能力(コンピテンシー)として、「現象を科学的に説明する」「科学的探究を評価して計画する」「データと証拠を科学的に解釈する」を必要とする。
読解リテラシー
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。
(3)調査方法
2015年以来、コンピュータ使用型調査へと移行。2022年調査では、数学的リテラシーと読解リテラシーにおいて、生徒の能力をより高い精度で測ることを目的として、生徒の解答結果に応じて出題内容を変える「多段階適応型テスト(Multi Stage Adaptive Testing : MSAT)」手法を導入。