「コーポレートガバナンス・コード」策定に当たっての日本政府とOECDとの連携
OECD日本政府代表部
1.政府の成長戦略(アベノミクス)である「『日本再興戦略』 改訂2014」においては、コーポレートガバナンスの強化という観点から、上場会社のコーポレートガバナンス上の諸原則を記載した「コーポレートガバナンス・コード」の策定が盛り込まれました。また、同成長戦略において、このコードの策定に当たっては、「OECDコーポレートガバナンス原則(以下「OECD原則」)」を踏まえて策定することとされています。
2.OECD原則では、コーポレートガバナンスは、企業の持続可能な成長と金融の安定に貢献する取組みを促すものであるというoutcome-orientedのアプローチが採用されています。日本のコーポレートガバナンス・コードにおいても、「持続的な企業価値向上のための自律的な対応を促すことを通じ、企業、投資家、ひいては経済全体にも寄与するもの」として、「攻めのガバナンス」(growth-oriented)の実現を目指すことが明記されており、OECD原則の基本理念が共有されています。
3.「『日本再興戦略』 改訂2014」を受けて、平成26年8月以降、金融庁と東京証券取引所が共同で事務局を務める「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」(池尾和人 座長)においてコードの策定に向けた議論が行われました。同有識者会議は、上記成長戦略に基づきOECD原則の内容も踏まえた議論を行い、本年(平成27年)3月5日にコーポレートガバナンス・コードの原案を取りまとめました。
本年5月に、東京証券取引所は、上記コード原案をその内容とする「コーポレートガバナンス・コード」を制定し、本年6月1日より上場会社に対して適用を開始しています。
(参考)当該「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」に、OECDからは、OECD原則の担当課のマッツ・イサクソン課長もアドバイザーとして参加をしています。(有識者会議のメンバー表参照)
4.また、日本政府(金融庁)は、OECDコーポレートガバナンス委員会(OECDにおいてコーポレートガバナンスを専門的に議論する場)に、副議長として参画しています。本委員会では、G20の支持を得ながら、コーポレートガバナンスの国際標準であるOECD原則の改訂作業を行っており、2015年中に完了する予定です。この国際的な議論においても、日本は、我が国の取り組みを紹介するなど、積極的に貢献しています。
このように、日本政府とOECDは相互に連携しながら、コーポレートガバナンス分野の発展に努めています。