OECDで働くには
1.最新の採用情報
OECDのウェブサイト(http://www.oecd.org/hrm/vacancies)に最新の採用情報が掲載されています。
- 2015年度JPO派遣候補者選考試験のご案内(2015年3月11日更新)
- 2015年 Young Professional Program(若手職員採用プログラム)の募集が始まりました。
2.応募方法
上記のリンクからRegister/Loginオンライン・アプリケーションが可能となります。
フォームに必要事項を記入し、英文か仏文の履歴書を添付します。
必ずOECDのウェブサイト上で、オンラインで応募して下さい(ダウンロードして印刷・郵送したりEメールで送付すると、無効となります)。
アプリケーション・フォームの送付が完了すると、受領のメッセージが表示されます。
3.採用までの流れ
(1)応募希望者は、最新の空席公告を入手し、オンラインで応募する。(通常、募集期間は、6週間程度です。)
(2)締め切り後、人事部がロング・リスト(20名程度)を作成する。
(3)採用する部局と人事部の間で、更に面接対象を絞り、ショート・リスト(4~8名程度)が作成される。
(4)採用する部局、人事部、その他から成るパネルにより面接が行われる。
(5)最終合格者が絞り込まれ、採用手続きに入る。この間、場合によりますが、約2~3ヶ月程度かかる場合が多いようです。
4.職種
(1)Aグレード(Professional Staff)
殆どの空席公告は、A2~A5グレードに集中しています。
A6(部長・局次長クラス)及びA7(局長クラス)の空席公告は、極めて稀です。また、ヤング・プロフェッショナル(A1)については、年間3~6名程度、と極めて限定された募集となっています。
Aグレードの各グレードに必要とされる経験などは、次の通りです。各ポストに求められる資質の詳細は、個別の空席公告を御覧下さい。
- A2/A3:そのポストの職務内容に相応しい、3年~5年の経験が必要です。
- A4:10年程度の経験が必要です。また、組織をまとめ、統率する能力を身につけていることも必要です。
- A5:課長レベル。その分野での相当に高いレベルの国内的・国際的な経験が必要となります。
管理職を既に経験し、委員会や作業部会で議論を統率する能力や、政治的判断を下す力が必要です。
(2)Bグレード(Administrative and Support Staff)
このグレードの採用は、仏国移住者の中から行われることが大半です。仏国外居住者が採用されることは稀なようです。
いずれも、当初は、臨時採用となります。
(a)秘書・アシスタント
コンピュータ・ソフトの駆使等、秘書としての技能が求められます。
また、公用語である英または仏語の極めて高い能力と、残りの1つの語学の高い能力が必要です。
(b)統計補助職
OECDが扱う経済分野での統計を扱った経験があり、応用統計学の十分な知識があることが必要です。
一般的なコンピュータ・ソフトを駆使する能力と、ソフトをプログラムするためのある程度の知識が求めらます。
英または仏語の高い能力が必要です。
採用にあたっては筆記試験(統計、経済、データ処理、グラフ解読、語学)が課されます。
(3)Lグレード
OECDで使用する文書・出版物の翻訳或いは会議の同時通訳をする職種です。
(a)翻訳者
英語・仏語の完璧な能力が必要です。大学学位及びフルタイムの通訳者としての経験が求められます。
採用に際しては試験が課されます。
(b)通訳者
英語・仏語の完璧な能力が必要です。大学学位或いは通訳としてのディプロマに加え、最低5年の同時及び
逐次通訳の経験が求められます。
5.待遇
(1)契約期間
任命は、offer letterによってなされます。個々の契約期間(殆どの場合が、当初は2年または3年の期限付き契約となります)、
採用の条件(待遇)は、このoffer letterに記載されます。契約期間の最初には、6ヶ月の試用期間があります。
(2)給与・手当
offer letterの中に、基本給が記載されます。支払いはユーロ建てです。基本給の他にも、家族がいる場合には扶養手当、
子女教育手当、本国を離れて任地に赴任する場合には海外赴任手当、その他着後手当等が支給されます。正規職員の場合、
これらの給与・手当は、多くの場合、任地では免税扱いとなります(但し、仏国人が仏国内で勤務するような場合は除く)。
基本給は、グレードとステップによるマトリックスで計算されます。
(a)以下は、2010年7月現在のAグレード基本給です(パリのOECD本部での勤務の場合。)。
- A1 グレードのヤング・プロフェッショナル
3992.06 EUR - A2/A3グレードのエコノミストまたは政策分析担当官
5101.00 EUR - A4グレードの上席エコノミストまたは政策分析主任
7314.54 EUR - A5グレードの課長相当職
8470.55 EUR - A6グレードの部長相当職
10011.02 EUR - A7グレードの局長相当職
10958.16 EUR
(b)家族手当
- 扶養手当:1名以上の扶養家族がある場合、月給基本額の6%が支給されます。
既婚であっても配偶者が月給基本額の6%を超える収入を得ている場合には、扶養手当は支給されない等細かい規則があります。 - 子女扶養手当:26歳以下の子女でフルタイムの教育を受けている場合、扶養対象と見なされ、子女教育手当が月額305.63EUR支給されます。
- 海外赴任手当:本部職員の場合、仏国以外の国籍で着任時に仏での滞在が継続して1年を超えない職員を対象に支払われます。
海外赴任手当の受給対象となる職員は、2年毎のホームリーブ(帰国休暇、8日間)の権利を有します。
また、赴任・離任時の旅費は、家族の分も含め、一定限度額まで支給の対象となります。- 独身の場合 : STEP1 月給基本額の14%が支給されます。
- 扶養手当受給対象者の場合 : STEP1 月給基本額の18%が支給されます。
- 海外赴任子女扶養手当:海外赴任手当と子女扶養手当の双方を支給される職員は、子女1名につき81.44EURが支給されます。
この手当は、教育手当(一定額までであれば、実際の学費の70%までが支給される)により代替される場合もあります。
(c)着後手当:着任時にパリ在住でない職員に支払われます。
(3)年金・医療保険制度
OECD独自の年金制度及び医療保険制度が存在し、正規の職員は加入の義務があります。
6.YPP(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)
OECDは、近年、高い資質の専門家を採用し、部局間での異動を増加し豊富な経験を積んでもらうことを重視しています。
YPPは、若い優秀な人材を採用することを主旨とし、まさにこの目的を達成できるように組まれているプログラムです。
ジェンダーバランスを改善するとともに、アンダーリプリゼンテーションを緩和することも目的としていますので、日本人にとっては応募しがいのあるプログラムです。
YPPとして採用されると、異なる2分野で1年ずつの勤務経験を経た後、適切な空席があればA2以上のポストに採用される可能性もあります。
但し、毎年1000人前後の応募者から最高3~6名のYPが採用されるに留まりますので、そもそもYPとして採用されるのにも大変競争率の高い試験を通過しなければならないことは確かです。
(1)応募資格
経済学であればPh. D、開発経済或いは国際関係では修士を有していることが目安になります。他のOECD関連分野でも、
Ph. Dを有していれば大変有利です。修士のみの場合には、関連分野での2年以上の勤務経験が必要となります。
また、OECDの公用語である英語或いは仏語については、仕事に必要な高いレベルの会話力及び卓越したドラフティング能力が
求められます。
残る一つの言語についても高いレベルを有していれば有利です。
国際的な環境でチームワークを尊重出来る資質を備えていることも重要です。
(2)YPの職務
配属された局・課の扱う事項に関する研究・文書作成、文献に基づくリサーチ、統計、報告書作成、委員会出席。
(3)募集時期
毎年秋頃です。合格者は、次の年の9月以降に勤務開始となります。
(4)給与等
A1グレードの基本給に加え、個人の状況に応じた手当が支払われます。
(5)応募に当たっての留意点
(a)必ずオンラインで応募し、CVや論文は応募書類に添付すること(別途送付しないこと)。
(b)ショート・リスト(面接対象者リスト)に残った候補に対してのみ、翌年1月に人事部よりコンタクトがあります
(応募者数が大変多いため、電話での照会は受け付けていません。面接は2月頃実施されます。)
7.FAQ(良くある質問)
Q.インターン(トレーニー、研修生)は募集していないのですか?
A.不定期に、必要とする部・課で募集することがありますが、定期的な募集はありません。
英語或いは仏語のCVに、具体的に勤務可能な時期を記したカバーレターを付して、3ヶ月以上の余裕をもって直接OECD事務局担当課に送付して下さい。
OECD事務局では、インターンに関する質問を受け付けています。本部サイトTraineeship Programmeをクリックして下さい。
尚、インターンは基本的に無給です。
Q.何が採用・不採用の決め手になりますか?
A.とにかく、ショート・リストに残ることが重要です。採用の決め手は、そのポストに求められている技能・資質・経験に応募者の技能・資質・経験がどれ程ピッタリ該当するかということです。空席公告に記してあるjob descriptionを熟読してから、応募書類を記入しましょう。
Q.YPPで2年間勤務した後は、OECDの正規職員として採用されますか?
A.YPPとしての勤務終了後、OECDの正規職員として採用される確率は、約3分の2程度のようです。
Q.100%採用されないのはなぜでしょうか。
A.2年の任期を終了する頃に空席となるポストが必ずしも個々のYPの資質・経験に合致するとは限らないからです。
しかしながら、OECDで正規職員に採用されなかったYPP終了者が、他の国際機関等に就職している例も多いと聞きます。
8.日本外務省のJPO派遣制度
外務省では、将来正規の国際公務員を志望する若手邦人のために、一定期間(通常2年)を国際機関で職員として勤務することにより、専門知識を深め、業務の経験を積む機会を提供するJPO派遣制度を設けています。
この制度の選考試験の合格者は、主に国連システム下の国際機関に派遣されていますが、OECDにも派遣があります。
この場合、給与、手当等は、派遣先であるOECDの規則に基づいて支払われます(派遣者の格付けは全てA1グレードとなります)。
この制度の詳細に関しては、外務省ホームページを御参照下さい。http://www.mofa-irc.go.jp/
寄稿
- 税財政部門で活躍する人たち(PDF)(財務省広報誌「ファイナンス」2012年1月号への寄稿)
- 金融部門で活躍する人たち(PDF)(財務省広報誌「ファイナンス」2012年2月号への寄稿)
- 金融部門で活躍する人たち(その2)(PDF)(財務省広報誌「ファイナンス」2012年3月号への寄稿)
- 開発・環境部門で活躍する人たち(PDF)(財務省広報誌「ファイナンス」2012年4月号への寄稿)
- OECDを支える人 玉木林太郎事務次長(PDF)(財務省広報誌「ファイナンス」2012年5月号への寄稿)