OECDの概要:国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)
(ホームページ:http://www.iea.org/)
1.設立
IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)は、第1次石油危機後の1974年に、キッシンジャー米国務長官(当時)の提唱を受けて、OECDの枠内における機関として設立されました。
事務局所在地はパリ。事務局長は、ファティ・ビロル(Fatih Birol)前IEAチーフエコノミスト(任期:2015年9月~2019年8月)。
2.加盟国
OECD加盟国(現在35か国)であって、かつ、備蓄基準(前年の当該国の1日当たり石油純輸入量の90日分)を満たすことがIEAに参加する要件です。
現在の加盟国は、豪州、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、仏、独、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、伊、日本、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、韓国、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国(アルファベット順)の29か国です(OECDに加盟しているが、IEAには未加盟の国はアイスランド、メキシコ、チリ、スロベニア、イスラエル、ラトビアの6か国。現在、メキシコ及びチリが加盟手続中。)。
3.目的・活動
エネルギー安全保障の確保(Energy Security)、環境保護(Environmental awareness)、経済成長(Economic development)、世界的なエンゲージメント(Engagement worldwide)の4つのEを共通目標に掲げ、エネルギー政策全般をカバーしています。(1)石油・ガス供給途絶等の緊急時への準備・対応と市場の分析、(2)中長期の需給見通し、(3)エネルギー源多様化、(4)電力セキュリティ、(5)エネルギー技術・開発協力、(6)省エネルギーの研究・普及、(7)加盟国のエネルギー政策の相互審査、(8)非加盟国との協力等に注力しています。
2015年の閣僚理事会において、(1)主要新興国との拡大された関与を通じたIEAの門戸開放、(2)エネルギー安全保障へのコミットメントの強化・拡大(ガス安全保障を含む。)、(3)省エネを含むクリーン・エネルギー技術のハブとしてのIEAの役割強化、がIEAの新たなマンデートとして加盟国により確認されました。
4.日本にとってのIEAの意義
• 石油供給の大半を外国に依存する日本は供給途絶の際、IEAの緊急時対応システムにより裨益するところが大きく、IEAは日本のエネルギー安全保障上、極めて重要です。
• エネルギー政策全般にわたる知見で高い国際的評価を得ているIEAは、知識ベースとして、また意見交換の場として重要です。
• 4-5年ごとに実施される国別詳細審査等を通じてIEAが行う政策提言は、我が国のエネルギー政策にとって有益なインプットとなり得ます。
• 日本は、IEA諸活動に積極的に参加しており、日本の分担金分担率は米国に次ぎ第2位(2016年、14.507%)、なお、IEAの職員数約250名のうち邦人職員は7名(2016年7月現在)です。
5.意思決定機関
• 全加盟国の代表により構成される理事会(Governing Board:GB)がIEAの最高意思決定機関として各種決定・勧告の採択を行います。
• IEAは、定期的に閣僚理事会を開催(原則として2年毎)しており、2015年11月には第25回閣僚理事会が米国のモニーツ・エネルギー長官を議長にパリにて開催されました。我が国から武藤外務副大臣、鈴木経済産業副大臣及び兒玉OECD代表部大使が出席しました。