兒玉大使の記者会見(3月31日)
3月31日、兒玉大使は当地邦人プレスに対する記者会見を実施しました(邦人プレス5社5名が参加しました)。
兒玉大使の発言の概要は以下のとおりです。
1 冒頭挨拶
一昨年は、OECD加盟50周年という年に、日本はOECD閣僚理事会(MCM)の議長国を務めあげ、OECDにおけるプレゼンスを高めたが、本年のMCMでは、副議長国として議長国のチリをサポートすることとなる。
4月のグリア事務総長訪日、6月1日・2日の閣僚理事会と、これから夏に向けて重要な日程が続く。また、本年はG7サミットが伊勢志摩で開かれるが、日本はG7議長国としても、OECDの知見を活用し、サミットでの議論を充実させたい考えであり、日本で開かれるG7の各種の大臣会合にはOECDからしかるべきレベルの出席者を確保するなど、緊密に連携をしていく。
本年は、中国でG20サミット(9月4-5日、浙江省杭州)が開かれるが、G20サミットにグリア事務総長は恒常的に招待され、OECDが事実上の事務局としての地位を保つなど、益々重要なものとなっている。
日本としても、こうした様々な機会を通じて、世界経済における日本のプレゼンスを高めるべく、OECDの場を戦略的に活用していく。
また、代表部としては、在仏邦人プレスの皆さんを通じた発信を今後ともさせていただくとともに、代表部ホームページの頻繁な更新を行い、広くOECDの活動を広めていきたい。
2 世界経済見通し
2月18日に発表された中間経済見通しにおいて、OECDは、最近の低調なデータを踏まえ、日本を含めた各国の経済見通しを引き下げた。先進国の回復は非常に緩やかであり、価格低下による資源輸出国の低迷やスーパーサイクルの終焉などから、多くの新興国の成長は低下している。G20財務大臣・中央銀行総裁会議でも確認されたとおり、需要を支えるため、より強力な協調的な政策対応が必要とされ、金融政策、財政政策、構造改革の3つのツールを活用していく必要があると分析されている。
また、IEAからは石油情勢報告が毎月発表されており、当代表部ホームページに日本語の概要を付けて掲載しているので、参考にしていただきたい。3月16日に、IEAは、世界経済は3%以上の成長を続けている一方、エネルギー関連CO2排出量が、再生可能エネルギーの増大により2年連続して失速した旨発表し、経済成長と排出量の伸びのリンクが弱まっているとの見方を示した。
3 グリア事務総長訪日
グリア事務総長は、2006年の就任以来、ほぼ毎年訪日しており、今年も4月に訪日予定。訪日時には、例年どおり政府要人にお会いいただくことになるものと思う。また、訪日に合わせ、アジア初となる「OECDグローバル議員ネットワーク東京会合」、及びOECD国土・地域政策レビュー公表記念シンポジウムが開催される。詳細については、別添の資料をご覧いただきたい。自分(本使)もグリア事務総長の訪日時に用務帰国し、各行事に出席する予定。
なお、昨年は隔年で行われる経済開発審査委員会(EDRC)日本審査の結果を、グリア事務総長訪日時に公表したが、本年はEDRC審査がない年であるところ、事務局の方で「政策ブローシャー」と呼ばれる、日本が取るべき経済政策の提言集を取りまとめ、グリア事務総長が面会する日本政府要路に手渡す見込み。
4 2016年閣僚理事会
今年の閣僚理事会では、議長国チリの下、生産性を主要テーマとし、包摂的な成長と両立する形で、如何に生産性を高めていくかについて議論を行う。その他、2030開発アジェンダの実施、貿易、投資等につき議論するほか、チリのイニシアティブで、ラ米カリブ地域プログラムの立ち上げ式典が行われる予定。
想定される主要な成果文書は、閣僚声明、議長サマリーの他、エコノミック・アウトルック、NAEC(経済的課題に関する新たなアプローチ)主流化の進捗報告に加え、生産性と包摂性の連関について分析したレポートが作成される予定。
閣僚理事会に合わせて、5月31日、6月1日、世界各国のビジネス界のリーダー、学識経験者、政府閣僚や国際機関のリーダー等が参加する、OECDフォーラムが開催される。調整中だが、日本からも数名のスピーカーが参加する予定。
5 農業大臣会合
4月7-8日にOECD農業大臣会合が当地で開催予定。フランスと米国が共同議長を務め、「生産的・持続的及び強靱な世界食料システム実現のためのよりよい政策」をテーマに議論が行われ、最終日に閣僚宣言が採択される予定。我が国からは農林水産省のいずれかの政務が出席予定。詳しくは別添の資料をご覧頂きたい。